おジャ魔女どれみ鑑賞2



評論





ああもぉ!いい話だコンチクショウ!実際の映像だと、音楽があったり、台詞やナレーションがより感情を揺さぶるモノだったり、こんな文章なんかじゃ伝えきれない素晴らしさが満載なんですよ!




んでまぁ本論ですが、まず、「ひみつ基地」という楽しさですが、これは皆、特に男性には少なからず共感してもらえると思います。実際にひみつ基地を作ったことがあるかどうかはさておき、大人たちの知らない『自分たちだけのひみつで特別なもの』を持つことに、言い表せない楽しさを感じたことは誰しもあるはずだ。私もありますよひみつ基地のメンバーになったこと。土地の持ち主に見つかって思いっきり怒られましたけどね。




この話の素晴らしい点は、グライダーを壊し、宮前君を骨折させ、ひみつ基地を壊したことです。ひみつ基地なんて子供じみた場所は、いつまでも許させるものではありません。小学生が作った飛行機など飛べるわけもなく、落ちて壊れてしまう。宮前君は骨折し、松葉杖で歩くことになる。子供の夢なんて、現実にはまず無茶なものです。時々子供でもないのに「おれはマルチと結婚する」とかいう子供の夢以上に現実的に無茶な夢を言う輩もいますが、それは放置。




「危ないから止めなさい」という先生の言葉は正論です。全くもって正しいです。小学生が自分たちで作った飛行機で飛ぶことなど、危険極まりないんです。事実、グライダーは壊れ、宮前君は骨折しました。さらにラストシーンですが、塾に向かうということは、勉強、つまり現実と向かい合うということです。六年生ということは来年から中学生になるわけであり、もう甘えの許される子供ではいられなくなります。辛くても苦しくても何とかしていかなくてはいけない。それが、現実というものです。部屋に引き篭もって2ちゃんに書き込みばかりして現実と向かい合わないでいるヲタクさんには縁の無い話かもしれませんけど。





しかし、です。先生に怒られることは解っていた。危険であることも解っていた。だけど、それでも飛びたかったんです。「大人の正論」に歯向かってでも、骨折をしてでも、貫き通したかった思いなのです。宮前君はあの瞬間を得ました。わずかだがグライダーが浮き、空を飛んでいたあの瞬間を。現実の壁に打ち当たって、ひみつ基地を奪われ、飛行機が壊れ、足を骨折しても、最後に宮前君は微笑んだのです。




タイトルから連想されるような魔法で安易に解決されるのではなく、現実に全力で打ち当たり、様々な犠牲を払った末に得たものなのです。多くの犠牲を払って貫いた思いは、そして得たあの一瞬は、そのリスクを負うだけの価値があったのです。だからこそこの話は素晴らしく感動的なんです。リスクを負わずに共有ソフトでダウンロードしたものじゃダメなんですよ!(あまり関係ない)




大人になれば、大概の人間は「大人の正論」に従って生きます。そうすることが楽で安全で、シビアな現実を生きるためには一番です。それは間違いでありません。けれど、それが全てではないでしょう。誰だって譲れない思いを抱いたことがあるでしょう。そしてその全てが叶ったわけではないでしょう。上手く叶った思いもあれば、何となく消えて行った思いもあるだろうし、貫き通そうとして挫折した思いもあるでしょう。でも結果がどうであれ、どんな思いでも、一時その思いに傾けた情熱があったはずです。




程度の差はあっても、譲れない思いにかける情熱というものは、きっと誰もが共感できると思います。だから先生は、宮前君を止めること諦め、あまり怒らなかったのです。もしその思いに共感できない人間がいるなら、それはきっと心が冷たい寂しい人間でしょう。




授業をサボることはいけないこと。授業は大切だし、サボれば当然割を食う。それが現実。けれどあの時彼らは、授業を抜け出してひみつ基地へ向かいました。空を飛ぼうとする思いに比べれば、授業なんて「そんなこと」だったのです。その思いの真剣さは、「子供だから」なんて考えで推し量ってはいけません。




時にはどんなリスクを払ってでも貫き通そうとする、大切で譲れない思い。その心は、どんな時も忘れてはいけません。厳しい現実の中で「大人の正論」に従って生きていくことになっても、それだけは決して失くしてはいけません。






「STAY GOLD」、輝いた時のままで。









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