おジャ魔女どれみ観賞
中盤です。
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まだ皆が寝ている頃、どれみ達は入ってはいけないと言われる不帰山(ふきやま)にこっそり行く。魔法の力もあるしと安心していた彼女達だが、不帰山に入ったとたん魔法が使えなくなってしまい、道に迷ってしまう。やがて雨が降り始め、どれみ達は大きな杉の根元にある洞窟に身を隠す。雨が止むのを待っていると、あいこがももこに、昨日の「どうしておじいちゃんのコトさけるの?」という問の答えを話す。
あいこの両親は結婚を反対されていたため、駆け落ちで結婚した。元々体が弱かったあいこの母方のおばあちゃんはその時のショックで体を壊してしまい、しばらくして死んでしまった。両親が幼いあいこを連れて墓参りに行った際、あいこは母親が怖い顔をしたおじいちゃんに罵声を浴びせられ、花束が踏みにじられるのを見た。
「あつこ!どのツラさげてお母ちゃんの墓に来たんや!
おかあちゃんが死んだんはおまえのセイや!」
あいこはただ地面にうずくまるお母ちゃんに抱きついて泣くことしかできなかった。
どれみがつぶやく。
「つらい…思い出があったんだね…」
ももこが手を伸ばしてあいこの手を取り、涙をこぼす。
「ごめん。私なにも知らなくて…」
あいこは見る。自分のことを想って涙を流してくれる友達のことを。
「話したらなんか元気出てきたぁ!」
少々強がりではあるが、友達の想いを糧に、あいこは元気を取り戻す。
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その時あいこは、その洞窟にさらに奥があることを発見する。そして奥に行ってみると、そこは悲劇の結末を迎えた善十郎とマユリを祭った場所であり、二つの面が奉納されていた。しかしマユリの面は真ん中から二つに割れていた。
とその時、藁傘を着て面をかぶった男が現れる。皆大慌てで逃げ出す中、どれみが一人取り残されてしまう。しかしどれみは、その男を見て、ふいにあることを考える。
「ひょっとして善十郎さん?善十郎さんでしょ?マユリさんのお面が割れちゃったから心配して来てたんだね」
どれみは二つに割れたマユリの面を顔の前で合わせる。
「善十郎さん。マユリさんのこと大好きだったのに一緒になれなくてつらかったんだろうね」
どれみは面を落とす。そしてそこに現れた顔からは、涙が溢れている。
「本当にかわった子じゃ」
そう言って男は面をはずす。それは彼女達が夕方になっても帰らないのを心配して探しに来た祖父であった(不帰山はこの時期山に入る際面をつけなくてはならないという言い伝えがある)。逃げていった他の娘達も一緒に探しに来た父が見つけた。不帰山での不思議な冒険は終わる。
その時、どれみが言う。
「おじいちゃん。マユリさんのお面かえてあげて」
そして祠には、善十郎とマユリの2人の面が揃って祭られた。どれみは露の滴る花を添え、微笑む。花から跳ねた水滴がマユリの面の目元に当たって飛び散った。
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やはりここで重要なのは、どれみの涙と微笑みでしょう。
悲劇の結末を迎えた善十郎とマユリを想い、心から同情して流れる涙。
そして、二人の面が揃ったことを喜び、彼らの幸せと安息を祈る微笑み。
悲しき死を迎えた者に同情する心。その幸せと安堵を祈る心。その、他人を思い遣る心に共感できない人なんているのでしょうか?もしいたとしたら、ソイツは人の形をした何処かの星の侵略者か何かだと思います。
同情して泣く。幸せを祈り微笑む。単純であるが故に、それらは純粋です。純粋で美しい人の心です。